フィリピン・セブ島 海外視察研修レポート 〜ソーシャルインクルージョンを考えた6日間〜
檸檬会では毎年、海外視察研修を実施しています。今年度も昨年度に引き続き、フィリピン・セブ島での研修が行われました。この研修は、所属部署や役職に関係なく応募ができ、その中から10名のパートナー(職員)が参加しました。異なる文化や価値観に触れることで、グローバルな視点を養い、檸檬会のビジョンである「ソーシャルインクルージョン(※)の実現」を深く理解することを目的としています。
※誰もが⼈⽣を楽しみ、躍動する機会が得られる社会
1日目
現地に到着後、同じSIPsグループ企業であるHowdy(ハウディ)のパートナーたちと合流しました。
2日目
翌日からの視察に役立てるため、Howdy ENGLISH ACADEMY にて英語レッスンを受講。また、フィリピンの教育制度や文化についても学びました。
3日目 午前 <フェアトレードショップ>
NGO団体GO SHARE と合流し、フェアトレードショップを訪問しました。ここでは仲介業者を介さず、貧しい人々が手の届く価格で良い製品を購入できるように販売しています。この事業は利益のためではなく、他者のために立ち上げられたものと伺いました。
3日目 午後 <山のラーニングセンター>
次に、山村部にある貧困村落を訪れました。電気も水道もない厳しい環境の中で暮らす、現地の人々の生活を見学しました。日本人の寄付により設立された「山のラーニングセンター」では、貧しい子どもたちが学ぶ機会が提供されています。参加者たちは日本のソーラン節を披露したり、竹とんぼや折り紙をプレゼントするなど、子どもたちと交流しました。
4日目 午前 <障がい者施設>
毎日20名が通所する、セブ島で唯一の障がい者施設を視察しました。施設を卒業した後に日本の就労支援のような福祉施設はなく、障がいのある方の雇用が課題となっていました。
4日目 午後 <スモーキーマウンテン>
ゴミ山が化学反応をおこし自然発火し、常に煙が発生している「スモーキーマウンテン」を訪れました。そこに住む人々は、ゴミを拾って生計を立てています。ゴミ回収車に乗り遊ぶ子どもたちを見て、セブ島のリゾート地と隣り合う深刻な社会問題を目の当たりにしました。
その後、NGO自助団体を訪問しました。異なる言語や文化の中でも、踊りやゲームを通じて交流することができました。
5日目 <現地学校の視察>
午前中に訪問した私立学校では、「やらないといけない」ではなく「自分でやりたい」という意欲を育てる認知教育と、STEMモデル(※)を導入しており、発想豊かな様子を見ることができました。
午後は3000人が通う公立小学校を訪れました。障がいのある児童が学ぶクラスもあり、教員は全ての生徒が卒業できるように熱心に教育に取り組んでいます。
※STEMモデル:Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)を総称する STEM教育は、2000年代にアメリカで始められた教育
6日目 帰国の途につきます
セブ島はリゾート地として知られていますが、その近隣エリアでは貧困、子どもの就学率の低さ、障がいのある方の社会参加、男女差別などさまざまな社会課題があります。日本よりも過酷な環境で生活する人々も多く、今回の視察研修ではその現実を目の当たりにしました。
しかし、多くの人にとっては目を伏せたくなる状況でも、そこには笑顔で遊ぶ子どもの姿があり、日本とは異なる価値基準があり、参加者たちは「幸せの基準とは?」「ソーシャルインクルージョンを実現するには?」と何度も考えさせられました。
参加者たちは滞在中も法人内SNSでレポートを共有したり、所属部署や合同施設長会での報告会も行い、全パートナーたちに研修で学んだことを共有しました。また、「ソーシャルインクルージョン」を実現していくために、実際に行動に移し、少しずつでも前進していくことの重要性を感じました。
今回の研修にご協力くださった皆さま、ありがとうございました。