「科学する心を育てる」vol.3 -レイモンド汐見丘保育園の取り組み-
ソニー教育財団が主催する幼児教育支援プログラム「科学する心を育てる」において入選したレイモンド汐見丘保育園の取り組みをご紹介いたします。
レイモンド汐見丘保育園は千葉駅から徒歩9分の住宅街の中にある、3階建ての保育園です。3階には学童保育が併設されており、都市部にはめずらしく園庭もあります。また、学生や地域と関わりながら、柔軟で探究的な保育を行っています。
「幼児期の主体的な音遊びの中には、振動、伝播、ものの性質と音の違い等、音に関する科学的な学びが含まれており、子どもたちは、特に意識をしなくてもそれらを感覚的に学びとっている(藤掛氏・北野氏,2014)」とレイモンド汐見丘保育園は「音」と子どもの学びに注目してきました。
それでは、今回受賞された論文中に登場した活動の一部をご紹介します。
・子どもとカホン(3,4歳児)
カホンの音をきくと、子どもたちは擬音で真似したり、他の箱と比べて段ボールなどで実際に再現したりと、様々な表現をして楽しんだ。カホンの造形や仕組み、素材についても合わせて探究することができた。
・ディンシャで見立て遊び(2歳児)
特徴的な形の楽器「ディンシャ」を聴診器やカエルの手、お店屋さんごっこのベルなどに見立ててごっこ遊びを行ったり、踏切やバーゲートに見立てて積木ごっこを行ったり、滑車や振り子の様に楽器自体を探究する姿が見られた。
楽器の音に加えて形状に興味を持ち、様々な見立て遊びに工夫して用いていた。
・生活で感じる音(1歳児)
蛇口から出る水が手に触れると違う音になること、おやつ時の牛乳パックを振ると音がなること(牛乳の量によって音が変わること)、中に鈴が入った積木と入っていない積木を振って比べて、音の違いや有無があることなど、日常の生活の中で様々な音を見つける姿があった。
・太鼓の音(0歳児)
手作りの缶でできた太鼓を手で叩く、プラスチック製の玩具で叩く、というのを真剣にくり返していた。また、太鼓側面の金属部分がカンカンとなることに気がつき、保育者と「いい音したね」と共有しながら楽しんだ。
それぞれの音に触れた後、子どもたちが思いおもいに表現していく姿。子どもたちが試行錯誤しつつ、想像力(創造力)を発揮しながら「音」と対話していく姿がまとめられました。そして、簡単に正解を教えるのではなく、温かく見守る保育者の姿がありました。