「つながる保育研修」2020年度レポート
2020年の新型コロナウイルス感染拡大により、檸檬会も例外なく職員が集まっての研修はできなくなりました。しかし、檸檬会はコロナ下でも学びの場を確保できるのでは?と考え、オンライン研修「つながる保育研修」を実施することにしました。
この研修は【研修 → 実践 → 発表】を繰り返す往還型研修というスタイルで、継続的な学びを保育実践に活かしていきます。
檸檬会の保育の合言葉である「なんだろうのその先へ」に導くよう、保育者は子どもの興味・関心を拾い上げ、さらなる「なんだろう」につながっていく関わり方や環境づくりを行なってきました。研修が進むたびに子どもたちの遊びはより深まりと広がりを見せました。また、保育者の関わり方にも変化が見受けられ、結果的にこの研修は、子どもだけでなく大人にも深い学びをもたらしました。
この研修の最後には受講した職員一人ずつがこの1年の実践を発表。下記4名の職員は60名を代表して、檸檬会の法人内SNSを通して、全職員へライブ発表を行いました。
レイモンドみらい園/1歳児クラス 三上弘子さん
テーマ『乳児期の探究を支える~なんだろうのはじまり~』
大切にしたのは生活の中から「なんだろう」を一緒に見つけ、聞いて、感じること。
夏の泥遊び・水遊びから氷遊びへと変化した感触遊び、秋の自然観察から木の実の楽器作りへと、それぞれの遊びが展開していった。
環境面では、子どもの興味・関心に関連したおもちゃや絵本を用意したり、保育室にドキュメンテーションを展示して子どもたちが振り返れるよう配慮した。
保育者が子どもの興味・関心に気づき、丁寧に関わりながら実体験を促すことが子どもの「なんだろう」を深め広げていくと実感できた。
レイモンド西淀保育園 /5歳児クラス 裏井奈々さん
テーマ『宇宙って不思議!!』
梅雨の時期に「雨ってなんで降るんだろう」と天気に興味を持った子どもたちは、天気にちなんだ表現遊びをしたり、紙芝居を作り始めた。
秋になり葉っぱの色が変わると「なんで季節はかわるの?」「地球が回っているからやん」「だから夜になるの?」と、子どもたちの興味は天気から宇宙へ。するとサークルタイムでは少し難しい話にも耳を傾け、ロケット作りや、水を使って星が浮く実験をするなど広がりを見せた。子どもたちが「なんだろう」と思うたびに、保育者も一緒に考え、一年を通して多くの話し合いと探究する心が生まれた。
レイモンド大津保育園/4歳児クラス 中尾舞さん
テーマ『雨だいすき』
雨だと外に出られないという先入観を変えようと、“雨の日散歩”と名付け外出。雫あつめるゲームが始まり、子どもたちの楽しむ姿が見られた。探検しながらコップに集めた雫の量を測り、サークルタイムでは「雨はどんな味?」「においは?」など会話がはずみ、話すことが苦手な子も積極的に参加するように。さらに、雨で作った氷絵具で「雨の音」を絵で描いたり、表現方法は広がっていく。雨をあるがままに受け止め楽しんでいく、そんな子どもたちの姿が見られた。
レイモンドあしびなー保育園/3・4歳児クラス 安達麻菜さん
テーマ『10名のまなびんちゅ ~つながる保育を通して見えた、主体的に生きる子供達の姿~』
自分たちの住む『沖縄を知る』をテーマにサークルタイムで海について話し、いろいろな素材で海を表現する遊びが始まった。
「クラゲとビニールが似ているね」「ウミガメが食べたら死んでしまう」
そんな疑問から“海のゴミとり作戦”を企画し、子どもたちは自分で作った道具でゴミ拾いをすることに。
道具作りの失敗と改良を重ね、素材や長さの理解、仮説を立てるなどの思考力がつき、さらにチャレンジ精神が生まれた。また、友だちの道具をほめるなどお互いを認め合う様子も見られた。
一方で、マイクロプラスチックが海に及す影響を知り、自分たちの周りにあるプラスチック製品の多さにも気づいた。
「プラスチックが悪いのではなく、ゴミを捨てる事が悪い。」「でもプラスチックもないと困るよね」「使ってもいいけど、使わなくてもいいものは使わない」など、それぞれ自分ごととして考えるようになった。
今まで見えなかった子どもの姿に、保育者も焦らず一緒に探究することを楽しみたいと実感した。
修了証書を受け取った保育者たちからは「子どもの声を聞くことが、今までより楽しくなった」「子どもへの関わり方を見直したり気づくきっかけになった」という感想が聞こえてきました。
檸檬会のさらなる保育の質向上、また保育業界全体への貢献となるよう、2021年度も引き続き「つながる保育研修」を開催して参ります。